The 1on1 shop B-collector

前略 ハサミについて (1)

　

　

　　　　　　　　　　　　　　
忙しさと確定申告の為、日記の更新が遅くなりました。
なお、日記の更新が頻繁な時は、店が暇すぎて、当店に経済的な
危機が訪れている可能性があるので、早めにご来店してください。

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　　　　　　
そして、誠に遅れ馳せながら、今回の「超Ｂ級新春キャンペーン」では、
多くのお客様のご来店、 誠にありがとうございました。
チープなオモチャ（UFOキャッチャー）と、せこい景品の割には、
思ったよりお客様の反応が良くて、 見てる僕もとても楽しかったです。

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　
あー、キャンペーンやって良かったよー！！

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　「！！」

　

　

「・・・・」

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　「早速、割引券持って髪切りに来たよー
　　　　10枚もあるから使うの大変だぜ！うははー♪」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　
　　　「・・・・いっらっしゃい」

　

ご利用は計画的に！
　　　　　　（一生使わなくても可）

　

　

　

　

　

　

　

　

　

「ってか、早乙女さん髪伸びるの早すぎません？」

「カプサイシン飲んでるんだよ。唐辛子に含まれる
辛味成分が発毛促進に効果があるんだ。プロなのに知らないの？
あるある大辞典でやってたんだよ」

　

　

　

　

　

　

「あるある大辞典かよ！」

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

「ところで前から気になってたんだけど、プロが使うハサミって
スタイリストさん１人普通、平均何丁くらい持ってるの？」

「うーん、人によって当然違うんだけど、平均１０〜３０丁くらいかなぁ」

　

　

　

　

　

　

「んで、アンタは何丁くらい持ってるのさ」

「１２丁！いえい！」

　

　

　

　

　

　

　

　

「物凄く、中途半端な数字だな」

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　　　　　　「・・・・」
　　　　　　　　 　　　
　　　　　　「・・・・」

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　　「・・・・・。」
　　　　　　　　
　　「いやぁぁぁーーー！！！！」

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　チョキ、チョキ、チョキ、チョキーーー！！！

　　　　　　

　　　　　　　　いやぁぁーーー！やさしくしてーーーー！！！！

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　ペタ、ペタ、ペターー！！ぬり、ぬり、ぬりーー！！

　　　　　　

　　　　　　　ちょｗｗ、何？なんで髪まで染めてるのさｗｗｗｗｗ

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「よしっ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　「何が『よしっ』だよ」

　

　

　

　

　

　

　

　

「あー、カットバサミには用途に合わせて色んな種類があるんです。
セニングシザーズ、ﾐﾆシザーズ、刈込鋏、仕上げ鋏・・・etc
そして、そのハサミ一本一本にも作り手のハサミ職人自身が
それぞれの思いを込めた『銘』が入ってたりするんですよ」

「ほう！ハサミに色んな種類があるのは知ってたが
『銘』が入ってるって事までは知らなかったな。例えばどんな
『銘』があるのさ。　ってか、何なの？今日の俺の微妙なヘアスタイル」

　

　

　

　

　

　

　

「えー例をあげると、菊一文字、エクスカリバー、ファルシオン、
始皇帝、スネイク、スカル、スコーピオン、ビクトリアン、サムライ。
んで、刀匠「岩崎重義」が監修した『景雲』　
ザクのデザインを手がけた大河原邦男氏の『ガンダムシザーズ』・・・」

「すげーな。ＲＰＧの後半じゃないと手に入らないような伝説の武器並みの
ネーミングの数々じゃない。　アレだ、ガンダムシザーズは普通に欲しいよ。　
ってかさ、俺のヘアースタイルの質問、何気に無視してるでしょ？」

　

　

　

　

　

　

　

「まーつまり、ハサミは僕らにとっての武器であり兵器であり仕事道具なんです。
ハサミ職人とは名刀を生む『現代の鍛冶屋』でもあるのですよ。
新しいハサミを手にした時、僕らはそのハサミに刻まれた『銘』を見て夢を膨らませ、
ハサミ職人達の様々な思いや情熱、そしてその『銘』に辿り着くまでの過程を色々と
想像してみる・・それが僕らのインスピレーションとなり新しいへアスタイルが生まれるのです」

　

　

　

　

「うーん・・なんか哲学的になってきたな。
そう考えるとハサミの『銘』って奥が深いよね・・・」

「そうなんですよ。例えば・・」

　

　

　

　

　　　　　　　　　　これ

　　　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　柔道かよ！！

　　　　　　

　

　

　

「ちなみに『柔道』は、ﾐﾆｼｻﾞｰｽﾞと刈込鋏の２丁持ってます」

「どんだけ、柔道好きなんだよ。 ってかアレか？『柔道』って材質によって、
黒帯、青帯、白帯 とかにランク分けされてんのか？？　まーそんな事は
どうでもいいんだけど、どんな思いを込めたらハサミ職人は『柔道』って
『銘』を入れるんだよ。むしろ『剣道』だろ！しかもアンタ、なんで２丁も持ってんだよ。」

　

　

　

　

　

　

　

「JODOってほら、オリンピック種目で世界的な共通語だからじゃない？
ハサミ職人が世界進出を見据えた戦略で、グローバルな視野からみたいな・・」

「まー確かにそうだけどさ、『柔道』で切られてる俺の身にもなってよ。
会社の女の子に『柔道』で切られてるって、かっこ悪くて言えないじゃん！！
もっと前出の伝説の武器っぽいハサミで切ってくんない」

　

　

　

　

　

　

　

「ははは、やだなー。早乙女さんの髪は『柔道』で切ってないですよー。
僕の秘蔵のコレクションにある『ドラゴン』の称号を持つハサミで切ってます！」

「うはっ、すっげーマジで！？　最初からそう言えよ。
ってか、漫画『ベルセルク』でガッツが使ってる『ドラゴン殺し』っぽくね？
マジで伝説の武器みたいでカッコいいじゃん！ ちょっと見せて、見せて！」

　

　

　

　

　

　　　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　

　

　

　

　

　

　

　　　　　竜太かよ！！

　　　　　　　

　

　

　

「どうりで今日の髪型は、昭和チックな懐かしい髪型だと思ってたんだ！
ってか、ハサミ職人にいったい何があったんだよ『竜太』って！！！！
どんな生き様でどんな過去を背負ってんだ。社内でどんな戦略会議が
行われてきたんだ。 普通に考えても、中々『竜太』は出てこねーぞ！
むしろ『竜』でいいじゃん！まーぶっちゃけ『竜』もどうかと思うけど」

　

「誰もが知ってる伝説を語った『銘』は、その過程に対する想像も容易ですが
意味不明な『銘』は、僕らハサミの使い手に様々な探究心と妄想、
インスピレーションを掻き立ててくれます。 それが、『柔道』や『竜太』を作った
ハサミ職人の本当に伝えたい意味だったのかもしれませんね」

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「・・・・・・」
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　「・・・・・・」

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　　　　　　　　　　　　　　　
「でも『竜太』はどうかと思う」

　

　

　

　

　

　　　　　当店自慢の名刀『竜太』でのカットのご用命は

　　　　　担当者に『ドラゴンカットで！』とお伝えください。

　

　

　

　

　　　　　　　　　　　　おしまい

（このドラマは一部フィクションであり、登場人物、団体名等は
全て架空の妄想の電波的なインターネット上のアレです。 ）

　

　

　

　

　

　　　　*次回予告*

『ドラゴン』の称号を持つ、切れ味鋭いハサミ『竜太』の閃光が
ご来店されるお客様の髪を優しく丁寧に、そしてスタイリッシュに包み込む。
だが、使い手の自己満足なハサミの話題など、お客様にはどうでもいい話・・・
本当にお客様に必要な情報とはなんだ？？　あっそうだ。僕は髪のプロだった！

　

　　次回「発動　髪Ｑ＆Ａマシン」

　

髪の悩みはプロに聞け！！　今宵も僕のハサミ（竜太）はロックを刻む。

　

　

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